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海山の家

視線を解き放ち、風景と暮らす家

敷地は南側へ長く伸びる長方形。一見すると南面に居室を並べるのが定石のように思えますが、周囲の環境を丁寧に読み解くと、単調な配置では得られない豊かな可能性が潜んでいました。

私たちが導き出した答えは、建物の軸を大胆に「南西」へ振ることでした。 南西側には建物が建っておらず、視線が抜ける恵まれた環境があります。この方向へ建物を向け、さらに各部屋のボリュームを少しずつ「ずらす」配置計画としました。

この「ずらし」の操作には、明確な意図があります。 第一に、空間に心地よい「奥行き感」を生み出すこと。 第二に、窓からの視線をコントロールすることです。室内からは隣接する建物が見えないよう巧みに視線をかわし、代わりに遠く広がる素晴らしい山並みや、刻々と表情を変える空へと視線が導かれるよう計画しました。プライバシーを守りつつ、外の自然を生活の背景として取り込むための必然的な配置です。

ご夫婦とお子様2人の4人家族がのびのびと暮らす住まいです。

家族が集うLDKは、変化に富んだ豊かな空間となるよう吹き抜けを設けました。縦方向への開放感が、平面的な広がりにダイナミズムを加えます。ここに設けた窓は、単なる採光のためだけではありません。周囲の美しい風景を、日々の暮らしの中で最も大切に感じられるよう、まるで絵画を切り取るフレームのように慎重に配置しています。

また、空間をつなぐ階段にも設計的な挑戦を込めました。手すりを単なる安全確保の部材としてだけでなく、構造的な補強も兼ねた意匠としてデザインすることで、機能と美しさが融合した、空間のアクセントとなる存在に仕上げています。

敷地が持つ課題を逆手にとり、視線を解き放つことで生まれた、この場所でしか実現できない豊かな住空間です。

構造:木造2階建
延べ面積:115.10㎡ (34.8坪)
家族構成:夫婦2人・子供2人

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