「白粉町の家Ⅱ」で大切にしたのは、庭の緑や光、風を日常の中で自然に感じられる暮らしです。室内にいながらも外の気配を身近に感じられるよう、大開口の窓と深い軒を組み合わせ、内と外が緩やかにつながる空間構成としました。季節や時間帯によって表情を変える庭の景色が暮らしの背景となり、日々の生活に豊かな変化をもたらします。
この住まいの象徴である「深い軒」は、住環境と暮らしの可能性を広げる多機能な中間領域です。将来は自家製天然酵母のパン屋としてお客様を優しく迎え入れる店舗の顔となり、ある時は畑作業の合間の作業場として、またある時は心地よい風に吹かれるカフェスペースとして多彩に機能します。さらに、この軒は夏の日差しを遮り冬の柔らかな光を室内に導くなど、一年を通して快適な室内環境を維持するための重要な装置としての役割も担っています。
室内の仕上げには強いこだわりを持ち、壁を漆喰仕上げとすることで、柔らかな質感と明るさを確保しました。漆喰壁は光を美しく反射し空間全体を包み込むとともに、優れた調湿・消臭性によって一年を通して清々しい空気環境を保ちます。吹き抜けのあるリビングには薪ストーブを設け、炎のゆらぎや薪のはぜる音が家族の時間に安らぎを与えます。暖気は吹き抜けを通して住まい全体に行き渡り、冬でも自然な暖かさに包まれます。
自然素材の風合いを大切にし、庭とのつながりと暮らしやすさを丁寧に積み重ねることで、年月とともに味わいが増していく、心地よさが続く住まいが完成しました。
構造:木造2階建
延べ面積:121.86㎡ (36.9坪)
家族構成:夫婦2人・子供1人
2026-01-12